見た目がまったく同じなのに…。クラフトテープにも色々“違い”があるんです!
見た目がまったく同じなのに…。クラフトテープにも色々“違い”があるんです!
皆さんが「ガムテープ」と言って愛用している、紙の「クラフトテープ」ですが、ホームセンターに買いに行くと、パッケージ以外すべて同じようなテープがズラリと並んでいるように見えると思います。
でも、よく見ると、価格差が…。
「え?なんで?」と疑問に思われる方もいらっしゃるのではないかと思います。
それは、何かしらの“違い”があるからこそ、価格に差が生じています。
今回は、その“違い”について考えてみたいと思います。
・クラフトテープに使われる粘着剤
・天然ゴム系粘着剤について
・合成ゴム系粘着剤について
・天然ゴム系粘着剤と合成ゴム系粘着剤の違い
・まとめ
クラフトテープに使われる粘着剤
皆さんご存じのとおり、クラフトテープは基材となっている紙に粘着剤が塗られています。
テープの製造に用いられる粘着剤には、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系など、たくさんの種類があります。
一般的に、クラフトテープには「ゴム系粘着剤」が使用されています。
「ゴム系粘着剤」と言っても、天然ゴムをベースとした「天然ゴム系粘着剤」と、石油由来の合成ゴムを用いた 「合成ゴム系粘着剤」に大別されます。
そうです!この2種類の粘着剤が「価格の違い」を生み出しているんです。
でも、その2つの粘着剤は、何が、どのように違うのでしょうか?
見ていきましょう。
天然ゴム系粘着剤について
ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、天然ゴム系粘着剤は、世界で初めて誕生した粘着剤です。(※ でんぷんから作られるのは、でんぷんのりといった「接着剤」です。)
この粘着剤の原料は、ゴムの木から採取される「樹液」です。
では、ゴムの木の樹液からどのように粘着剤になり、テープを作っていくのでしょうか。
<天然ゴムを使った粘着テープの製造方法>
1,まず、ゴムの樹の樹液に酸を加え凝固させ、シート状に成型し、その後スモーク(燻製。乾燥)処理します。天然ゴムのシートを一枚一枚積み重ね直方体のベールにプレス成型加工したものを工場に運び入れます。
2,シート状の天然ゴムは分子量が大きく、硬くて加工しにくいため、ロール機でつぶして分子量を小さくして柔らかくする必要があります。その加工後に、天然ゴムを有機溶剤で溶かします。
3,その他に、樹脂などを加えることで、天然ゴムにはない「粘着剤」の特性を持たせることができます。
4,それぞれのテープの特徴にあわせて配合した粘着剤を基材に塗ります。
5,熱をかけて乾燥させることで、粘着剤中の溶剤が蒸発し、皆さんが知っている粘着テープの状態となります。
このように、天然ゴムを使った粘着テープの製造には、コンパクトにまとめても、色んな工程が必要となります。
合成ゴム系粘着剤について
一方、合成ゴム系粘着剤は、石油から化学的に合成されたゴムを原料にしています。
石油化学工業の発達に伴って発明された粘着剤が、合成ゴム系粘着剤です。
合成ゴム系粘着剤の原料は、一般的に「SISゴム」(スチレン-イソプレン-スチレンゴム)という物質が使われています。
SISゴムは、熱をかけると融け、冷ますことで固まる性質があるため、溶剤を使わずに製造することができます。
SISゴムから粘着テープを製造する一般的な工程をご紹介します。
<合成ゴムを使った粘着テープの製造方法>
1,SISゴムに熱をかけて溶かします。
2,ここに、樹脂などを加えることで、SISゴムにはない「粘着剤」の特性を生み出します。
3,それぞれのテープの特徴にあわせて配合した粘着剤を基材に塗ります。
4,このまま冷ますことで、粘着剤が固まり、皆さんが知っている粘着テープの状態となります。
天然ゴム系粘着剤のテープに比べて、工程が少ないことが分かりました。
天然ゴム系粘着剤と合成ゴム系粘着剤の違い
これまで見てきたように、粘着剤によってテープの製造工程が違いました。
もう少し踏み込んで、それぞれの粘着剤の「特徴」についても触れておきたいと思います。
まず、天然ゴム系粘着剤のメリットとして、「環境にやさしい」と言えるでしょう。
原料はゴムの木の樹液ですから、環境にやさしい植物由来の粘着剤となります。
続いてのメリットとして、粘着剤が温度変化に強いということ特徴のひとつです。
天然ゴム系粘着剤は、温度によって粘着剤の性能が変わりにくいため、その粘着剤が塗布されたテープは、使用される地域の気候や環境に関わらず、いつでも安心した 粘着力が発揮されます。
一方、デメリットとしては、製造工程が多いこともあり、必然的にテープの価格が高くなってしまうということが挙げられます。
ちなみに、菊水テープで製造しているクラフトテープのほとんどは、天然ゴム系粘着剤を使用しています。
次に、合成ゴム系粘着座は、天然ゴム系粘着剤と比べて製造工程が少なく、大量生産に向いています。そのため、テープの価格を抑えることができます。
しかし、デメリットとして、合成ゴム系粘着剤は、気温が高くなると粘着剤が柔らかくなってはがれやすくなり、逆に気温が低くなると粘着剤が硬くなって貼り付きにくくなる傾向があります。
そのため、テープを使用する環境によっては問題が起こる可能性があります。
整理してみましょう。
まとめ
見た目がまったく同じのクラフトテープにも、“違い”があること、またその“違い”は粘着剤の特性や作る工程にあることをご理解頂けましたでしょうか?
クラフトテープの売り場に行かれた際は、「これはどんな粘着剤を使っているのかな?」と、興味を持ってパッケージをご覧頂ければと思います。
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